
海が陸になるところ、雨の降り始めと降り終わり、材料が料理になるとき。
何かと何かの「間(あわい)」がとても好きだ。そこにははっきりした境目はなく、ただただ移り変わってゆくだけ。それがいい。
とりわけ気に入っているのが、昼が夜になる時間だ。西に日が沈んで、東の空が青から紫、そして紺へと少しずつ移り変わってゆく。
よく晴れたその時に、ほんのわずかな時間だけ現れる淡い桃色の帯を「ヴィーナスベルト」と呼ぶのだと、数年前に知った。とてもうれしかった。名が付いているのは、この美しくはかない光の帯を、ひとつの現象としてたしかにとらえようとした昔の人がいたということだ。
沈んでいるように地上に見えている濃紺は、地球の影らしい。そしていつの間にかこの影の色が空を覆い、夜になっている。